私の大好きな作家、J.D.サリンジャーは、隠遁生活をしたことで有名だ。彼は「ライ麦畑でつかまえて」を出版後、世間でちやほやされることに嫌気がさして、外の世界との繋がりを一切絶った。本の中からも、世間に対する彼の冷めた目は読み取れる。諦めというか、苛立ちというか、そんなことを思ってしまう自分に対しての哀しみというか。私はいつもそれに深く共感をする。
コロナになって、人と会わないことが(合法的に)許されることになって、正直楽な面が大きい。したくない約束もしなくていいし、”今後のことを考えて”会わなきゃいけない関係も必要ない。誰かと会った写真を載せなくても、土曜の夜に飲みに行かなくても、寂しい人間だと定義されることもない。1人は楽だ。でも私の話を誰かに聞いてほしいとも思うし、何かについて意見を言い合ったり、分かり合ったりもしたい。1人がいいけど、変に人と繋がりたい気持ちがある。それに世間にまだどこか期待もしている。私はサリンジャーにはなれない。
誕生日が近づくと、「もう大人なのに」という呪いのような言葉が、いつも私の首を締めつける。大人になれば、この苦しみから解放されると思ってたのに、大人になればなるほど苦しい。
こう思われるかも、逆にこう思われないかも。自分の頭の中で全てが勝手に進み、不毛に心を削る。
でもこんな不器用さも刃にできるはず。その刃をぴかぴかに磨き上げたお守りとするか、自分を傷つける武器に変えるか、年を重ねた私に託したい。
(G R O W/Willow & Avril Lavigne ft. Travis Barker)
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