the florida project

ずっと観たかった「フロリダプロジェクト」が、大好きな映画館で上映するということで観に行ってきました。




フロリダはご存知ディズニーの街。フロリダプロジェクトとは、ウォルトディズニーがテーマパーク開園のために考えたプロジェクト(計画)のこと。

でもプロジェクトという言葉にはもう一つ、「低所得の人が住む住宅」という意味があるそうです。この映画では安モーテルがその住宅です。そしてそこには家を借りられない家族がたくさん住んでいます。日本でも家を借りるのは大変ですよね。収入の調査等の入居審査。それに通らなければ、ネカフェで生活したりホームレスになるしかないです。幸い私には小さい頃からずっと家があって多くの人がそうやって生活していると思うけど、それができない人も世の中にはたくさんいるんだなと知りました。


この映画でのフロリダプロジェクトとは、テーマパーク開園で街を発展させるはずが、一方で貧しい人を多く生んでしまった、という皮肉な意味。何より皮肉なのがそのモーテルの名前。「magic castle(魔法のお城)」という名前なんです。お城に住む夢すら見ることのできない人がたくさん住んでいるモーテルの名前が魔法のお城だなんて、、それがまたこの映画の良さと虚しさを出してます。










そのmagic castleに住む、無職でシングルマザーのヘイリーとその娘ムーニー。
ムーニーは同じモーテルや近くのモーテルに住む子達と毎日いたずらをしたり元気いっぱい過ごしています。

お母さんのヘイリーは、誰がどう見ても品がなくどうしようもない。でもムーニーにたっぷりの愛情を注ぎ、いつも無邪気でたくさん遊んでくれるヘイリーのことをムーニーはとても愛しています。

この映画は全編ムーニーの視線で描かれています。なんてことないものも、子どもの力で全てを遊び場に変える。そういった子どもの頃の感情だったりも思い出させてくれます。








ヘイリー達は、1週間ごとにお金を払って生活をしています。感覚的には、ホテルに連泊するのと同じです。そのお金を捻出するために、偽物の香水をディズニーの観光客に売りつけるのが彼女達の仕事。そんなの絶対ダメだけど、ヘイリーは生きるのに必死。そうするしかないんです。でもムーニーにとってそれは生活の危機が迫っているなんてことは気づきません。お母さんと一緒に香水を売って、「おじさんこれつけるとモテモテよ」なんて言います。


そうやって何とか食いつないで生活していくも、限界が。とうとうヘイリーは売春を始めます。その描き方がなんとも切なくて、、映画を観て確認してみてください。




この親子が違法なことをしている、と分かっていつつも追い出すこともせず見守る管理人。彼がいい味出しまくってて思い出しただけで泣ける。管理人という立場だから、首を突っ込みすぎるわけにもいかないし、でも放っておくこともしない。絶妙な愛ある支え方で、住人たちを守っています。



そんな周りの支えを受けながら、必死に生きる親子の物語です。ラストのムーニーに本気で泣かされます。そしてエンディングに震えが起きる。現実から夢の世界に。これも観て確認してほしいです。










残念ながら、親子のあまりの品の無さに日本だと最悪の映画だと言っている人も多く見ました。日本では、このモーテルに住む、という感覚があまりにも現実離れしすぎているからというのもあるかもしれません。でもそれって悲しい。監督のインタビューを読んだけど、「この映画を楽しんで笑ってほしい。でも帰ってすぐインターネットでどれくらいの家族がモーテルで暮らして育っているかを調べて知ってほしいんだ」と言っていました。


映画はもちろん娯楽のためにもあるけど、世の中を知るためにもあると思うので、この映画を通してアメリカの現実を知ることができて私は運が良かったです。その人たちを救うことはきっと私にはできないけど、世界の人のことを考えるきっかけになりました。










ちょっと重いことばかり書いたけど、笑えるシーンもあるし、子どもは可愛いし、ヘイリーのタトゥーとファッションはツボだし、何より色合いが最高に綺麗!建物も何もかも可愛い!それだけでも楽しめます。


こういったやるせないけれど、どこか愛のある映画が大好きなので、観ることができてほんとよかった。。何なら3日間で2回観に行ったからね(笑)本当に最高だった。色々衝撃と影響を受けすぎて、ヘイリーとムーニーのことを考えるだけで愛しさが止まらない。映画に感動しすぎて、ムーニー役の子に長々と気持ち悪いコメントしてしまったんですが、そしたら昨日返事くれて好きが更に爆発しました。



とにかく大事だと思える映画に出会えて幸せです。ムーニー役の女の子が賞をもらってスピーチで、「世界中のヘイリーとムーニーへ」と話していて泣きました。さっき書いたように、この映画と同じようにモーテルで暮らしている家族を助けることは私にはできないけれど、でもこうやってそういう人達がいるというのを知ることは、大切なことだと思うし世界が変わるための最初の方法だと思います。あまり自分の価値観やら感覚を押し付けるのは好きじゃないけど、1人でも多くの人にこの映画を観てほしいと思ったので長々と紹介しました。


DVD/Blu-ray発売、レンタル開始は、10月3日みたいです!予約しなきゃ!








:)