一番お気に入りの曲、は決められない。一番好きな歌詞は、タイトルにもしたdeja vuの「i'll buy a range rover just to run you over(あなたを轢くためだけにレンジローバーを買うわ)」かな、笑っちゃうよねこんなの、Avrilらしい。曲は決められないけど、今日の段階で一番聴いたのはlove suxだと思う。he wasn'tで、ひとりぼっちでベッドの上に座って、じっと電話を見つめてたAvrilは(sit on the bed alone, starin' at the phone)、love suxで、ベッドに横になって、「恋って最低」と考えてる(lying in my bed, thinking love sucks)。めちゃくちゃに傷ついて、あなたのことを考えると弱くなっちゃうから、タフにならなきゃって自分を鼓舞しないといけないくらいなのに(when i think of you, gotta try to be tough)、でもやっぱ腹が立つし、顔が浮かぶと吐き気がする(when i think of you, i just wanna throw up)。悲しいけどむかつく、こういう言葉にするのが難しいごちゃまぜな気持ちを、let goからずっと正直に吐露して曲にし続けてきたAvrilのこのスタイルは、今作でも健在で、聴いていてとにかく気持ちいい。傷ついて、悲しくて、涙が止まらないのに、聴いてるうちに何でもできそうな気分にさせてくれる。それはAvrilのこのストレートでユーモアのある歌詞が理由でもあると思う、待って、私ってmotherfucking princessだったな、って思わせてくれる。だからベッドに潜って膝を抱えてひとしきり泣いた後は、ハンマーでもいい、チェーンソーでもいい、何でもいいけど、それを背負って闘いに行けそうな強さをくれる。私を傷つけた人は許さないよ、と。だって私は特別で最高(the best damn thing)だから。
Avrilの魅力は、とにかくそのアティチュードだと思う。Avrilの曲を語る人が、絶対それを口にする。今回アルバムが発売されたから、国内外問わず色んなインタビュー記事とかレビュー記事とか見たけど、一つも漏れることなく全記事がAvrilのアティチュードに触れてる。自分を信じて、真っ直ぐ進み続ける芯の強さ。ライナーノーツに書いてあった、コロナ禍で内省的な曲が増えた音楽業界、Avrilはまったく逆の方向に突き進んだ、と(この文章読んでめちゃくちゃ泣いた)。人は、少なからず他人に影響を受けて生きてて、私なんか誰かがSNSで口にしてる言葉で一瞬で打ち砕かれてしまうことだってあるのに、Avrilはいつも自分のやりたいことがわかってて、自分の進む道だけ見てる。自分に正直になって作ったものしか表に出したくない、といつかのインタビューで言ってた。正直でいるのは難しいのでは?というインタビュアーの質問に、でも自分が感じてることしか曲にしたくないし、自分に忠実な曲でないといけない。それを実現するために、常に闘う必要がある、と。
そのAvrilならでは、のアティチュードが直球のpop/punkサウンドに乗った今回のアルバムが、最高でないわけがなくて。最近、simple planがsum41のDeryckと曲を出してて、MVも含めてここでもそのブレなさに感動したんだけど(MVではsimple planのボーカルのPierreが“emo's not dead”と書かれたTシャツを着てるの、最高過ぎて笑った)、私はずっとこういう音楽で育ってきて、だから耳馴染みがあるというのもあるんだけど、こういうpop/punkのアティチュード(ここでもやっぱりキーとなるのはアティチュードなのです)に力をもらってきたんだなと思った。Avrilが本来持ってるらしさと、Travis達が持ってるごてごてのpop/punkアティチュード、それが今回このアルバムでミックスされて、もう最高の一言、ティーンの頃の無敵さを、私はまた手に入れることができた気がして、今本当に嬉しい。年齢だけ見るとAvrilも37歳だけど、10代の頃と変わらず、怒りを叫び、血の流れる傷を晒すことを厭わない。表現がありきたりで申し訳ないけど、本当にrockで気持ちがいい、突き抜けてる、っていったほうがいいかな。Avrilの潔さ、飾らなさ、は感動しちゃうくらい真っ直ぐで、私はそれにずっと励まされ続けてる。
今回のアルバムは、女性へのラブレターがテーマらしく、自分自身のために立ち上がること、闘う大切さ、というのを詰め込んだそう。でもlet goから一貫して、私は本当にAvrilのここがすごいなと思ってるんだけど、彼女は「こういうことを伝えます!」というメッセージをあまり表立って見せない、「ただ、私はこんな感じでやったの、大変だったけどね、まあこういうふうに考えてるよ」、っていうその姿を見せるだけで、それはもちろん声から歌詞から伝わるわけだけど、そこから感じ取ったものを、聴いた人が自分の考え方、生き方のお手本にしている。Avrilがこういうふうに歌ってた、だから私もこうやって生きよう、というふうに。少なくとも私はずっとAvrilの曲から感じたそのアティチュードが私の全てのお手本になってる。Avril自身は、誰かのお手本になってるなんて不思議、って昔インタビューで言ってたけど、彼女をお手本にしてる女の子は(もちろん男の子も)大勢いて、だから20年経っても皆Avrilが大好きで、もちろんアーティストである以上音楽として最高のものを出さないといけないと思うけど、それプラスAvrilのブレない強さを見続けたくて追ってる人もたくさんいると思う。この世に変わらないものはない、きっとAvrilも変わった部分はある、でもやっぱりモールで暴れてた彼女は今も消えていなくて、それを改めて教えてくれるアルバムだった。Avrilこそが私の信念で、AvrilがAvrilで居続けてくれることで、私の世界は、回る。
(今日のタイトル: deja vu/Avril Lavigne)
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