she says,“i love you, girl”, i love her more


最近映画の感想はもう一つのブログに書いてるけど、このブログの方がやっぱりアクセス数多いし、今回は伝えたいことが多いのでこっちに。


ということで「バービー」の感想です。




この映画、今年一番楽しみにしてたんです。最初はティーン映画好きな私にとっては最高のビジュアルをしてたから観たい!と思ってたんだけど、「レディバード」や「ストーリーオブマイライフ」のグレタ監督だし、そんな単純な話じゃないだろうと、そこもわくわくしていて。案の定、予告だけ観て可愛いから観よう、って思って観た人は後悔したんじゃないかなってくらい皮肉たっぷりの映画だった。女あるある、男あるある、をコミカルに描きつつ、性から脱却して「個」として生きるお話。




男の気を引くにはこうしろってシーンがめちゃくちゃ笑えるんだけど、こういうシーンが男性からすると居心地悪いのか、フェミ映画だ!とか叩いてる人が多いイメージ、でもこの映画は男性が男らしさを強要される辛さ等についても描いてるんだよね(そこに気づけないとただ腹立って終わると思う)。女性は強い!女性も声を上げよう!ってことは最近よく聞くけど、それも偏りすぎると結局男性差別になるし、バランスが難しいところなんだけど、「バービー」は、自立した女性を描きつつ、ちゃんと男性も自分を見つめて生きることに触れてる。そこがめちゃくちゃ上手かった。その男性というのが本作ではバービーのボーイフレンドであるケンで、彼は本当に何の肩書もない、ただ毎日ビーチにいてバービーのことを好きなだけの男、って設定。バービー人形ができた経緯として、“女性も何にでもなれる”と女の子たちに示したかったってことがあるらしく、だからバービー人形自体は色んな職業のバービーが登場したんだけど(ちなみに私はお医者さんのバービーを持ってた)、ボーイフレンドのケンはバービーランドでは主役じゃない、ただのケン。バービーの隣にいるだけのただのお飾りだったケンが自分を見つけるっていうのも本作の大きなテーマ。だから女性向けの映画っぽいけどめちゃくちゃ男性向け、というか性別に関わらず人類皆にとっての映画、でした。バービーという神格化された完璧な存在を、ちゃんと(?)ぶった切るシーンもあって、それも女性は最高!に偏ってない良い点だったな、総じて上手かった。




もちろん女性の辛さをばきばきに語ってくれてるシーンもあるのでそこも必見、あれは本当に泣けた、というか私はもう途中からずっと泣いてた、泣きすぎて頭痛くなったくらい笑。なりたい自分になるのに誰の許可も求める必要ないし、自分として生きようっていうのが大まかなテーマではあるけど、そのメッセージの伝え方が優しかったんだよね。やっぱりここ最近の映画って、その「自分らしくいよう」の押しつけが逆に強すぎるんだろうなと思った、大事なことなんだけど、自分らしくいることを強要されすぎているような。でも今作は、そういう押しつけが個人的に全くなくて、何にでもなれるけど、でも別に何にもなりたくないならならなくてもいいよ、って教えてくれて、すごく肩の力が抜けた。上手かったなあ、こうやって伝えてくれる映画は初めて、私みたいにいつもぐちゃぐちゃ悩んでる人は本当に救われると思うので観てほしい。





マーゴットロビーは可愛いからいいよね、なんて観客に言わせる前に先手を打った台詞も笑えたし、誰のことも下に見ず、逆に崇めることもせず、皆が同じ目線に立って観ることのできる映画でした。あとは言うまでもないけど世界観が天才、いまだに夢を見てたんじゃないかなってくらい全部が可愛かった、あれを形にした監督はすごい。Lizzoのpinkの歌詞に合わせてバービーたちが動くオープニングはときめきまくったし、こうやって私も遊んでたなあって懐かしくもなった。可愛いし笑えるしメッセージ性もはっきりしてるのに、Billieの悲しい曲がエンディングなのも深いなと思う。日本じゃ本当に観てほしい層に観てもらえないんだろうなと思うけど、1人でも多くの人が観て、自分と相手のことを思いやりながらも、自由に生きられるようになればいいなと思う。私もバービーだし、皆もバービーだよ





(今日のタイトル: speed drive/Charli xcx)